ディズニーランド・リゾート

スプラッシュマウンテン、題材を『プリンセスと魔法のキス』にリニューアル

以前より噂されていた、スプラッシュ・マウンテンのリニューアルが現実となりました…。

題材を『南部の唄』から『プリンセスと魔法のキス』へ

現在スプラッシュマウンテンは映画『南部の唄』を題材としていますが、これを『プリンセスと魔法のキス』を題材としたものにリニューアルすることが発表されました。
現時点では、アメリカ(ディズニーランド、マジック・キングダム)のスプラッシュマウンテンが対象となっていますが、日本も時機を見てリニューアルする気がします。(スプラッシュマウンテンは、アメリカ以外は日本にしかありません。)
リニューアル時期は未定。これからスケジューリングに入るところで、パーク再開後しばらくは現行のまま運行するとのこと。
公開されたコンセプトアートを見ると、ライドの作りはそのままに、オーディオアニマトロニクスや装飾、音楽のみが変更されることになると思われます。
スプラッシュマウンテンの生みの親であるトニー・バクスター氏もプロジェクトに参加するそうです。

少し気になるのは、スプラッシュマウンテンが存在するテーマランド、クリッターカントリーがどうなるのか、という点。
『プリンセスと魔法のキス』はニューオーリンズが舞台。アメリカのスプラッシュマウンテンは、ニューオーリンズがテーマのエリアと近いので世界観を合わせやすそうなんですが、東京のニューオーリンズはアドベンチャーランドにある…遠い…。クリッターカントリー全体を設計し直したりするのかなぁ、と思ったり。

リニューアルは人種的配慮によるもの

このリニューアルは、”すべての人がアトラクションを楽しめるように”というディズニーの配慮によるものです。

スプラッシュマウンテンの題材となっている映画『南部の唄』は、1946年の公開当時から、特に実写パートについて、人種的な配慮が足りないと批判されてきた作品。アトラクションについても、以前からリニューアルを求める署名運動が行われており、ジョージ・フロイド氏殺害事件を受けて、より活発化していたところでした。
リニューアルプロジェクトは昨年の夏から始まっていたそうですが、昨今の情勢を鑑みてこのタイミングでの発表となったのかもしれません。

リニューアル後の題材となる映画『プリンセスと魔法のキス』(2009)は、ディズニーで初めてアフリカ系アメリカ人をプリンセスとした作品。この作品への批判もあるにはあるのですが、黒人のプリンセスがようやく生まれたと賛賞する意見が多い作品。わたしも大好きな作品です。

ポリティカル・コレクトネスに基づくアトラクションのリニューアルはこれが初めてではなく、カリブの海賊やジャングルクルーズで既に行われています。
(カリブの海賊は女性のオークションシーンが変更されました。日本はそのままになってますが。
ジャングルクルーズではサイに追い詰められた探検隊のシーンがリニューアル。白人が黒人たちを率いているように見えるとして、様々な人種に変更されました。)

『南部の唄』はなぜ批判されるのか

映画『南部の唄』は、1946年に公開されたアニメと実写の融合作品。主題歌の『ジッパ・ディー・ドゥー・ダー』はアカデミー歌曲賞を受賞、主演のジェームズ・バスケット(リーマスおじさん役)は特別賞を受賞しています。
ディズニーを代表する作品のひとつですが、過去に発売されたVHSやレーザーディスクは廃盤となっており、DVDの発売もされていません。配信についても、今後一切行わないことをディズニーが明言しています。

『南部の唄』は、白人の少年ジョニーが南部の農園に引っ越し、黒人のリーマスおじさんと親交を深めるという物語。
両親の不仲や白人の子供たちからのいじめで傷心しているジョニーは、リーマスおじさんや農場で働く黒人たちに精神的に助けられます。そこでリーマスおじさんが聞かせてくれたお話が、アトラクションのもととなったブレア・ラビットたちの物語(アニメパート)。

これが歴史の誤認を招く、あるいは、いわゆる”マジカル・ニグロ”であるとして長年批判されてきました。
ディズニーはこの映画の時代設定は南北戦争直後であり、リーマスおじさん達は奴隷ではないと主張していますが、”綿花農場で働く黒人の集団”は、やはり奴隷制度を彷彿とさせます。
この時代の黒人は白人の奴隷であり、映画のように白人と友達になることなど許されなかった、本作は事実を歪曲しており奴隷制度の危険な美化を助ける作品である、としてNAACP(全米黒人地位向上協会)が過去に訴訟を起こしています。現在映画を観ることができないのは、このためです。

同様の批判を受けている映画に『風と共に去りぬ』が挙げられます。『風と共に去りぬ』も、先日配信を中止したことが話題になりました。(現在は冒頭に注釈をつけた上で配信を再開しています。)
(ちなみに、スカーレット・オハラの乳母マミーを演じた女優が『南部の唄』でもジョニーの乳母を演じています。)

アトラクションをリニューアルする必要はあるのか

スプラッシュマウンテンには、黒人も白人も登場しません。
しかし、登場するキャラクター、ブレア・ラビット(うさぎどん)、ブレア・フォックス(きつねどん)、ブレア・ベア(くまどん)の、”ブレア”は南部の黒人訛り。
さらに、キューライン(待ち列)のアナウンスで「おじいちゃんおじいちゃん、うさぎどんのお話して~」「なぁに、うさぎどんの話か」という会話が繰り広げられていたり、アトラクションの入り口がリーマスおじさんが住んでいた水車小屋をモチーフとしていたり、作品を観たことがある人にとっては実写パートの面影が感じられる状態になってます。

ディズニーが映画『南部の唄』を公にしようとしないことや、スプラッシュマウンテンのリニューアルについては、アメリカでも賛否ありましたが、ポリティカル・コレクトネスにかなりシビアになっていて、NAACPに寄付もしているディズニーにとっては、完全に葬り去りたい過去なのでしょう…。

あわせて読みたい
ウォルト・ディズニー・カンパニーがNAACPなどに500万ドルを寄付ジョージ・フロイド氏の事件を受けて、 https://twitter.com/WaltDisneyCo/status/126823...

長年親しんできたアトラクションが変わってしまう寂しさはありますが、『南部の唄』が題材になっていることで”心から楽しめない人がいる”のであれば、内容を変更しなければならない、という考えは最もだし、何より『プリンセスと魔法のキス』がこのアトラクションにハマりすぎているので、個人的にはこのリニューアルは非常に楽しみです。

ジッパディ・ドゥー・ダーの意味

ただ、映画を完全に葬り去ろうとする動きには、少し違和感を覚えます。
「過去の事実を知る」ことが重要であるのと同様に、「過去の価値観や思想を写した作品から学ぶ」ことも重要だと思うのです。

映画の原作となった小説『リーマスじいさん』シリーズの作者(白人)は、南北戦争後も続く黒人差別に疑問を抱き、人種関係の理想化された世界を描いたのだと述べています。
ディズニーはこの小説で描かれたユートピアを、出版された約50年後に再現しました。

「ジッパディ・ドゥー・ダー」の意味をご存知でしょうか。
リーマスおじさんが「人間も動物も、誰もかれもがおもしろおかしく暮らす、ジャンプしたくなるような愉快な毎日」のような意味だと言っています。
この映画には「人種の壁を越えて、すべての人が人生を謳歌することができたら」という希望が込められているように感じます。
ディズニーはこの映画を通して黒人に歩み寄ろうとしたのかもしれません。
しかし、彼らへの理解は表面的なものであり、結果的に多くの黒人を傷つけてしまいました。
差別しようと思って作ったわけではない、むしろ逆なのに、差別をしてしまっていた…
映画を遺すことで過去の過ちを知り、真の意味で理解し歩み寄るということはどういうことなのか、考えを深めることはできると思うのです。

▼ティアナ、ルイス、ママ・オーディの声優、イマジニアからのメッセージはパークスブログで。ティアナのパートナーとなるナヴィーンの名前がどこにも無いのが気になります。アトラクションには登場しないのかもしれません…。

New Adventures with Princess Tiana Coming to Disneyland Park and Magic Kingdom Park

Today we are thrilled to share a first glimpse of a project Imagineers have been working on since last year. Splash Mountain – at both Disneyland park in California and Magic Kingdom park in Florida – will soon be completely reimagined. The theme

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


error: Content is protected !!